『鏡の中のマリア』

退屈な日々

「藤ぃ~、お前生きてて楽しい?」
いきなりそう話しかけ

自分の椅子に後ろ向きにまたがり、
私の机に両肘をつくこの男は、

同じクラスで前の席の
木村暁生(キムラ アキオ)。

茶髪にピアス、やたらと女にモテる
この軽い男はなぜか私になついている。

『そういうあんたは毎日ノー天気で
幸せそうでいいわねぇ~。』
と嫌みのひとつも言ってやる。

「お前さぁ、この世の不幸を
全部背負ったような顔してるな。」

『それってどんな顔よ?』
不服そうな私を見て

「そう。それ!そんな顔!(笑)」

『あっ、そう。』
フゥ~と肩肘をつき、ため息する私に

「か~~!!お前さぁ。
もっと熱くなれないの?!
なんかないの?!

この内面からくるグァ~って
くる熱きものがさぁ~!!」

って立ち上がり大げさに拳をにぎりしめ、
変なジェスチャーをする暁生に

『あんた暑苦しい。消えて。』


ただでさえ暑い
この季節にこの男は・・・。





7月・・・私がもっとも嫌いな夏。

ジリジリと照る太陽が・・・
うるさい蝉の鳴き声が・・・
夏休み前に浮かれる皆が・・・

すべてがうざかった。






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