『鏡の中のマリア』
ピタッと動きを止め

「お前、ほんと性格悪いよな~。
だから友達できないんだろ?」
もう一度座り直す暁生に

『友達なんていらないから。』
窓の外を眺める。

この男はウザイけど
この席はお気に入りだった。

教室の一番後ろの窓際の席。
窓を開けると涼しい風が入ってくる。
反対側の教室だったら絶対に
窓際の席には座れなかっただろう。



私には友達がいなかった。

高校2年になる今も
私に用もなく話しかけてくるのは
暁生だけだったし、


“何で?”って思ったのは
最初のうちだけ・・・


暁生はMなんだなっと勝手に
解釈した。



後はまぁ、
ずっとこんな調子だった。


「暁生くぅ~ん。」と
鼻にかかった声が
教室の入り口の方から聞こえてくる。


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