迷子のコイ
「・・・ゴメン!ナギ!
 あたし先帰るね!」


「え! ちょっとアイリ?」


ナギを教室に残し、
あたしは授業が終わると
これでもかってくらいの速さで
教室をあとにした。


カケルの姿を見たと
ゆいちゃんから聞いたあの日以来
あたしはあのコンビニに通いつづけた。


ただひと目、
カケルの姿を見るために・・・。



ゆいちゃんから話を聞いてから
ちょうど1週間。

相変わらずカケルとは会えないまま
今日もコンビニから帰ったあたしを
部屋でナギが待っていた。

その横には
部活帰りのせいだろう。
汗とほこりの匂いのする、俊哉がいた。



「おかえり」


そう言うふたりに
なぜか目があわせられない。

あたしは乱暴にかばんをベッドに投げた。


「どこ行ってたの?」


ナギが訊いた。


「あ~・・・本屋。
 読みたい本あったから」


なんだか息苦しさを感じて
あたしは部屋の窓を開ける。
ふたりとは、まだ目を合わせていなかった。


「・・・ウソツキッ!!」


ナギがあたしに唐突に言った。


「な、なによ! ウソツキって!」


あたしはその時はじめてふたりの方を向いた。


「ウソツキにウソツキって言って何が悪いのよ!」


いきなりケンカをはじめたあたし達にあわて
俊哉は仲裁に入ろうとした。





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