迷子のコイ
「アイリッッ!!」


美術室のドアがガラッとあいて、
息をきらしながら
そこには、ナギが立っていた。


「ナギ・・・・・」


あたしはナギを見たとたんに
なんだか すごくせつなくなって
気づいたら
涙がポロポロとこぼれはじめた。


「ナギ、あんた何の用?」


沙紀ちゃんが
ナギをにらみつけながら言う。


ナギは
そんな沙紀ちゃんには目もくれずに
あたしのほうへとやってきて
あたしの手をとった。


「行くよ、アイリ」


そう言ってあたしの手を引いたナギは
美術室から出ようとした。

そんなあたしたちの前に
強引に沙紀ちゃんが入り口をふさぐ。



「ナギちょっと待ちなよ」


そんな沙紀ちゃんにナギは
冷たく言い放つ。


「ミナがふられたのは、
 ふたりの問題でしょう。
 アイリは関係ない」


沙紀ちゃんにじゃなく
ミナちゃんのほうを見て、そう言った。






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