“逆”チョコレート大作戦!!
「えっ…と、あの…」



「ん?」



「たくさんの“1つのハート”を贈られるのもすごく素敵だと思います。でも…」



オニーサンは俺の持つラブラブハートを見つめながらフッっと小さく笑みを零した。



「1つの鉢に“2つのハート”。お客様には大切な方がいて…その方のココロを傍に置いておきたい。いつまでも一緒にいたい…。」



「はい。」



「お客様のお話を聞いていると、なんだかそちらの方がピッタリな気がして…って、スミマセン。なんか勝手なコト言っちゃって。」



「いえ…。」



俺は寄り添う2つのハートを見つめながら、謝るオニーサンに適当に返事した。



1つの鉢に2つのハート…



菜々美のココロを…



傍に…



菜々美と…



いつまでも一緒に…



って、



「それじゃ“プロポーズ”してるみたいじゃん!!」



「え?」



「プロポーズ…って…、ねぇ、オニーサン!!どう思う?」



「えっ…と…」



俺は苦笑いを浮かべるオニーサンを見つめながらズイっと顔を近づけた。



「人生の一大イベントっすよっ!!どー思う?」



「それは…」



「ねぇ!!」



「…」



そして15分後…



「頑張ってください。」



「おっ…おうっ!!」



“プロポーズ”するかどうかは別として…



結局、白い丸鉢のラブラブ“ダブル”ハート(1980円)を購入した俺は、



「よしっ!!行く…か。」



早足で菜々美のアパートへと向かった。

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