“逆”チョコレート大作戦!!
「俺…お前の気持ち、なんも分かってなかった…」



「えっ?」



「“ソレ”作って、実際渡してみて初めてわかった…。お前の気持ち。バレンタインにチョコ渡す時の気持ち…」



「…。」



そう。



俺ってば全然わかってなかった…。



本当はもっと感謝しなきゃいけなかったのに…



初めて貰った時の気持ち、



忘れちゃいけなかったのに…



俺はケーキの箱を持ったまま目を見張る菜々美の手をギュッと握りしめた。



「俺…」



「うん。」



「失敗しまくっちゃった…。」



「しょうがないよ。だって、お菓子作るの初めてだったんでしょ?」



「ん…」



俺はニッコリと微笑む菜々美を見つめながらコクンっと頷いた。



「でも…」



「うん。」



「俺…ちゃんとした“ガトーショコラ”作る予定だったのに…」



「えっ?ちゃんと出来てるよ。」



んなバカな。



色とか…



菜々美が作ってくれてたのと全然違うし。



っていうか、



そもそもメイン食材のチョコが普通じゃないんだから…



「それ実は…失敗…。」



「えっ…ウソっ!」



…になるよな。



はぁ…。



俺は出来損ないの“ガトーショコラもどき”を見つめながら大きなため息をついた。

< 81 / 107 >

この作品をシェア

pagetop