嘘恋
「痛くない?」

「うん、痛くない」

朋久は 沙織の顔を 見つめると

「全部、入ったよ」とつたえた。

沙織は、恥ずかしいから いちいち 伝えるなと言った。

「あったかい、お前の中…」

沙織は両手で顔を隠す。
朋久は、ゆっくりと 痛くならないように 沙織の中で 動く。

初めての感覚、感触が沙織に訪れる。

回りの 知識みたいに 本みたいに AVみたいには ならないけれど

沙織の初体験は、終わった。

しばらくして、朋久が 果てる。

朋久は 沙織を抱きしめる。

ハァハァ いいながら

「…いっちゃった…」

沙織は自分の上に のっかっている朋久を 抱きしめた。

汗ばんでいる。

タオルで 汗を拭ってやる。

「初なんて、いけないもんな…」

「…いくとかわからないけど、気持ち良かった…気がする…」

「マジで?」

「うん」

なんだか 沙織は 複雑な 気持ちが 沸いて来てしまった。

マツとの 半年。

何回か こうなる機会があったけど。

なんとなく ふんぎりがつかずに 上手く 断ってきた。

そして 朋久と 出会い 完全に 沙織の 気持ちは 朋久へと 動いてしまったのだろうか。

朋久には 彼女がいる。

自分にも 彼氏がいる。


最低なことを してしまった気持ちになった…


マツには きちんと 話そう。

ホンとのことを…


なんだか 自己嫌悪の涙が 溢れてしまった。

初体験で 気持ちが 高ぶっていると 思われたくなかったけど

もしかしたら 高ぶっていたのかもしれない

朋久に気づかれないうちに 涙を 拭いた。
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