【実話】ただ、普通の幸せがほしかった
「失礼します」


教室に入ると真ん中に机が、向き合わせになって置いてあった。


「どうぞ、お座り下さい」


「はい、佐々木の母です。よろしくお願いします」

先生とお母さんが、挨拶をして席についた。


「佐々木、どこか志望校は、あるのか?」

「…まだ、決めてません」

「そうか、お母さんは、どうですか?」

「まだ、本人とそんなに話をしていないですが、家から近い所を考えています」

「そうですか、では佐々木の家から近い城南高校は、どうですか?
家からも近いから自転車通学でも大丈夫だと思いますよ」


「あの先生、城南高校って、うちのクラスで、志望している人は、いますか?」

「城南高校は、まだ誰もいない。
うちの学校からは、行く人は、いないと思う」


「先生、私、城南高校にします。
家からも近いし、
遠いところ苦手だから」


「わかった、じゃあ佐々木は、城南高校に決まりだな」


「はい」


「では、面談は、このへんで、終わりにしましょう。
後は、家に帰って再度話し合ってみてください」


「わかりました、ありがとうございました」


三者面談は、15分ほどで終わった。


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