妹なんていらない
「とゆーわけで…」



「どうも!」




アイスを持った両手を上げる結城。


俺はため息をつきながら、結城に目をやり、それから美波を見た。




「ゆ、ゆゆ結城くん…!?

え、えぇっと…きょ、今日はどどうしてここに?」



うわぁ………


噛みすぎ、赤くなりすぎ、縮こまりすぎ。



こいつのこの反応だけは慣れないな。




「サッカーが今日から三日間お休みでね、

休みの間だけ親戚のやってる海の家を手伝いに来てるんだ」



「そ、そうなんだ…」




ふいに美波が俺を睨み、くいくいっと手招きした。


めんどくさいが行かないわけにはいかない。


こいつに逆らったら拳がとんでくるってのは言うまでもないよな。




「(あ…あんた、何で結城くんが働いてるって言わないのよ!?)」



「(…は?)」



「(こ、心の準備とかあるでしょ…

そ、それにゆ…結城くんが水着で…水着で…!)」



「(…とりあえず落ち着け。

それと、結城の水着姿に興奮するな、気持ち悪いぞ)」




この後美波に殴られたのも言うまでもない。
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