妹なんていらない
「無性に甘いものが食べたくなったんですよ。

けど、この通り私、金欠病でして………」



「見た目で金欠病かどうかわかるやつはすごいと思う…」



しかし、意外だ。


千鶴はまめな性格だし、案外抜け目のないやつだからしっかり金銭面はコントロールできてそうなもんだが…



「今月のおこづかいの千円も、残すところ八十二円です」



「なるほどな!

お前が金欠病な謎が一気に解決されたよ!」



てか、女子高生のおこづかいが千円って…


千鶴の親は女子高生がお金がかかるということを知らないのだろうか。

(美波が結構服やら何やらで金を使うので俺のこづかいがカットされかけたことがある)



「………わかったよ。

クレープくらいならおごってやる」



なんだかんだで世話になってるんだ。


クレープ一個くらい安いもんだよな。



「ほんとですか!?」



「あぁ、さっさと好きなの選んでこい」



俺がそう言うと、千鶴はぱあっと明るい笑顔を浮かべ、それから俺の手を引いてクレープ屋に足を進めた。
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