妹なんていらない
床を見つめる雨宮が何を考えているのか、俺にはわからない。


もしかしたら、話を聞いても理解できないのかもしれない。




………けれど、わかりたい。


いつも遠巻きから俺たちを見ているような、こいつのことを。




「どこまで…甘いのよ………!」



体を震わせながら強く、しかし小さく言い放つ。


雨宮は少しだけ目に涙をためていた。



「あんたは最低よ…

ほんっとうに…最低っ………!」



「…………」



俺は何も答えずに、雨宮の言葉を聞き続けた。


そうしなければ、こいつの本音は聞けない気がした。



「何でそんなに甘いの?

何でそんなに優しくするの?


私は………

そんな優しさ…いらないのに…!」



「………っ」



「いつか言ったよね?

高橋くんは本当の優しさって何かわかってない、って…


ほんと…あのときから変わってない………あのときのまま………」



そう言われ、俺は以前、海に行ったときのことを思い出していた。


あの時、こいつが言った言葉。


俺が思っている優しさは、本当の優しさじゃない。


そんなことを言われた。


「この際だから教えてあげる。

高橋くんの優しさは私にとってはね………ただの暴力。

それはとても…残酷な優しさなんだよ…!」
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