妹なんていらない
優しさってのは何なのだろう。



人に優しくすることはそんなに悪いことなのか。


俺は今まで、自分がやれる限りで優しさってやつを行ってきたつもりだ。



でも、それは俺の独り善がりだったのか?




「………ふむ、あの雨宮がな」




結局あの後、勢いのままに部屋から追い出され、今朝から美波はもちろん、雨宮とも口を聞いていない。


ぴりぴりとした空気に母さんが少し戸惑っていて申し訳なかった。





そして、今は翌日の昼休み。


久しぶりに男二人だけの昼食。


教室で話すのは憚られたので、俺と勇人は屋上にいた。




「俺は間違っているのか…?」



屋上の鉄柵を背もたれに、空を見上げながらつぶやく。


俺の気持ちとは裏腹に、天気は快晴だった。


どんよりした気持ちの中、思わずため息をつく。



「さあな、俺には分からん」



「こんなときくらい何か言えよなお前は…」



「なんだ、俺に慰めを期待していたのか?

普通、期待するだけ無駄だと思うだろ」



「自覚してる!?」



「旅の恥は掻き捨てらしいな」



「いや、今の状況とそれ違うからな!?

正しい用法は旅先では知り合いもいないし、長く留まることもないから普段なら恥ずかしくてできないことも平気でできるって意味だ!!

ああ、もう!
お前の間違いを指摘したらやけに具体的な長文になったじゃねぇか!!」




こんなときでもつっこむ俺はどうなんだろう。




………いや、こんな状況でボケるこいつが悪い。
< 308 / 317 >

この作品をシェア

pagetop