妹なんていらない
「今まで話したことがなかったがな…

俺の父親はな、教育委員会の会長なんだ」



「………え?

お、お前の親父が?」




予想外の一言だった。



教育委員会の会長。



そんな、学校を影で管理しているような人が父親。



「おいおい…

それじゃあ、息子のお前が金髪はまずいだろ…」



「だから言っただろ。

これが、俺がした唯一の反抗なんだ」




そう言う勇人の目は、どこか憂いを帯びているように見えた。




「昔から、俺は父が敷いたレールの上を歩いてきた。

そうすることが正しいと思っていたし、事実、間違った道じゃなかったと思う。


勉強をしろ。

何か部活をしろ。

ことあるごとに指示された」



「…………」



「でもな、ふと思ったんだ。

俺はこうやって、父の人形として生きていくのか?

本当にこれが、正しい生き方なのか?



考えた結果、俺は父が敷いたレールを外れることにした」



空を見ていた勇人の視線が屋上の床に移る。



「それで、髪を金髪にしてみた。

俺はあんたの言うとおりになんて生きない。

俺はあんたの人形じゃない。


…そういう意味を込めてやった」
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