妹なんていらない
いい加減めんどくさくなってきた。



いくら美波が軽いとはいえ、人間一人を引きずるのは結構疲れる。




「千鶴、美波がグラウンドに用があるんだとさ。

お前も行くよな?」



「な………」




腕をつかんでいた美波の表情が青ざめた。



予想通りの反応に、思わずニヤリと口の端を上げる。




「もちろん!

みぃちゃんが行くのならば私はどこにだって行きますよ!」



「ちょっ…ち、千鶴!

私、グラウンドなんて行きたくない!」



「さぁ、早く行こぉ!!

手をとりあって早く行こぉ!!」




千鶴は、バシッと美波の手を取るとタダダ!と砂塵を巻き上げながらグラウンドに行ってしまった。



それを見て、俺はのんびりとグラウンドに足を進めた。



引きずられた美波が裏切り者ぉ!と叫んでいた気がするが、気のせいだろう。



そもそも俺はあいつの味方じゃねぇしな。
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