妹なんていらない
グラウンドに着くと、ぜぇぜぇと荒い息づかいの美波と、ピンピンしている千鶴の姿があった。



どこにそれほどの体力があるのかと思うほど千鶴は体力バカ…もとい、タフである。



とりあえず二人の元へ向かうと、わかっちゃいたが美波に睨まれた。



疲れのせいか、いかんせん迫力が足りなかったがな。




「おぉ、サッカー部が練習してます!」




とまあ、妙に説明くさい台詞を千鶴が言い、俺はグラウンドに目をやった。



そして、ゼッケン十番に目をやろうとした。



だが、よく見ることができないせいでうまく探せない。



何かでちょくちょく視界が隠されていたからだ。



「あのな………」



「このっ!
このっ!」




俺の目の前で美波がぴょんぴょん跳んでいた。



そんなに俺を見せたくないのか、こいつは。
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