妹なんていらない
そうこうしている間にこちらに向かってサッカー部が歩いてきていた。



ちらっとグラウンドに設置してある時計に目をやると、ちょうど8時。



どうやら今日の朝練は終わりらしい。




「わわっ…」




急に美波が慌て始めた。




逃げようか、でも、逃げて変に思われたらどうしよう、それより隠れる場所は。




………みたいな思考が手に取るように分かってしまった。




「お、純一か」




サッカー部の群れの先頭にいた男が俺に声をかけてきた。



スポーツマン、としてはそれにそぐわない金髪の男。




言い遅れたが、この男、皆川勇人は実はサッカー部の主将だったりする。




俺は勇人に対して右手を上げるだけであいさつを返した。
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