机の上の、赤い糸
気づいたら目の前には間近であたしに話しかけている礼が居たけど、明君のことを考えていたら全く気がつかなかった。
「ねえ、愛聞いてるの。」
何回この言葉を耳にしたことだろう。
「ん、ごめん。何?」
あたしが急に呼びかけに返答したものだから、礼は少し驚いた表情をして、
「明くんのことで頭いっぱいなんだろうけど、もう清掃の時間だよ。」
と言ってあたしに周りを見るように促した。
「…あ」
ほんとだ。
あたしと礼だけ、
時間が止まったようだった。