もう一度 笑って
起き上がった先に見えたのは
女物の制服だ

ハンガーにきちんとかかっている



女?




もしやと思って
あたしは自分の胸の視線を落とした


男物のシャツを着ていた


胸の締め付けが感じられない


枕元を見ると
キャミとブラが
折りたたまって置いてある


朝倉?
朝倉がやったの?


男の朝倉が
女のあたしの身体に……


狭い室内を見渡した


朝倉の姿がない


ぼろいアパートだけど
ユニットバスがある


シャワーでも浴びているのかと
思ったけど
水の音はしない

トイレで用を足しているわけでもない



第一
人の気配がない




あたしはカラーバックスの上にある時計を見た




5時半



外は暗い
部屋は寒い

たぶん早朝だろう

こんな朝早いのに
朝倉がいないのだろう
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