俺様!何様?執事サマ!?
…………………。
私たちはしばらく無言で、美羽さんの後ろ姿を見つめていた。
「おーい、なーにポカンとしとんねん、ふたりしてー」
櫂が来なかったら、ずっとそのままでいたかもしれない。
――――――――――
「………美羽の傷がウソって、そんなオチ、ありかい」
櫂は、昨日爽としたらしい電話で美羽さんのことを聞いていたらしい。
真相を知ると、私たちと同じような反応をした。
いや、実際に、あったんだよ。
爽の頬からそれをはがす。
「…………ほら」
「ひゃー……すごいなぁ」
そしてそれを、今度は私の頬につけた。
「おぉ、愛ちゃんにあう、にあう」
「…………嬉しくないけど」
「あー悪い悪い、かんにん。いいこいいこしてやるから」
「超子供あつかい………」
―――ぺしんっ
そうして、櫂が私の頭を撫でようとして伸ばした手を、それまで呆けていた爽が払いのけた。
「え……爽、わっ!?」
ぎゅう、と私を抱きしめる。