†Wind†
「そーいえば、噂の亜里紗ちゃんて…どの子?」
由稀が小声てあたしに問う。
「あー…あの子だよー?ほらほら」
あたしは周りと馴染んでいない少し浮いている亜里紗ちゃんの方を見た。
「へーぇ。あの子かぁ。
……以外に地味ね〜。」
「そぉ?でも可愛くない?なんかあたしらにない初々しい純粋オーラがあってさ。」
「ん〜…(何か鈍臭いわね。)」
「やっぱ浮いちゃってる。何かかわいそう…。」
「吹奏楽部は…あるイミ戦場よ。1stの楽譜を巡ってのね。」
「…そだね。」
「まっ今は関係ないけど?」
「…あたしさー。何か亜里紗ちゃん見ると、昔?ってか2年前思い出すんだよね〜。」
「2年前?」
「そっ。2年前。」
* * *
晴美崎高校1年
髪も染めてなくてメイクだってしてない地味なあたしは、友達がいなくて学校から帰っては目を腫らすまで泣く毎日だった。
そんなあたしを変えてくれたのは、この吹奏楽部。
中学生限りで、フルートを辞めようかと迷いながら行った仮入部はすごく楽しくて、そして信頼できる仲間もできたあたしは、ようやく入部を決めた。
でも、「人と違ったっていい。むしろ吹奏楽部は一人一人個性があるから楽しいんだ。」っていう、後に同じパートの先輩になった水野先輩の言葉が一番に背中を押してくれた。
あの水野先輩の言葉があったから、今のあたしなんだよ。