water song(みずうた)
『ああ、なるほど。はぐれましたか』

私の言葉に、全身青い人は、勝手に納得して、頷く。

しかし、本当に全身真っ青。
肌も、髪も、瞳も、まつげも。

指先の爪まで青く、不思議な色に揺らめく。

その身にまとう服も青。

まぁ、服というよりは、布をまとっているといった方が正しいかもしれない。

そして、それが青い人のボディラインを隠す。

髪が長めであるのと相俟って、目の前の人の性別が不明だ。

もしかしたら、私に親しみやすいカタチをとっているだけで、もとから性別など無いのかも知れないけど。



『それは心細い思いをしたでしょう』

言いながら、青い人は傍らの泉に手を突っ込んだ。

何をするのか見守る私の前で、青い人は泉の水をグルグルとかき回す。

動きにあわせて、水に波紋が広がる。

水面が泡立ち、底が見えなくなった所で、青い人は突然何かを掴み上げた。

それは、人の手首の様で…。
「…えっ?」

最終的に、片手で掴み上げられて、ぐったりした状態で、ずぶ濡れの人が一人、泉から出てきた。

その人は…。

認識した途端、私は走り出す。

青い人…正しくは、青い人が掴み上げた人物に向かって。
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