water song(みずうた)

05-04.****と拒絶

地面に寝かされたガルンを暫く見守る。

睫毛が影を落とす頬は…少し、痩せた?

目の下にも、隈。

ふ…と、睫毛が震えた。

う…と、言葉にならないうめきが、ガルンの口から漏れる。


薄暗い中でも、輝きを失わない瞳。

私を視界に捕らえ、驚愕に見開かれ、それから、逸らされる。

「ガルン…?」

半身を起こしたガルンの拒絶が信じられず、私は震える声で、彼を呼ぶ。

「やだ、やだよ、ガルン」

我ながら、拙い仕草で、ガルンの服の裾を掴む。

「でも、リール。俺はきっとまたお前を置いてくから…」

ガルンが困った顔をしているのが、涙でぼやけた視界でもわかった。

でも、少しでもそばに居たくて。

「置いて、行っても良いから」

本当は今度置いていかれたら、きっと…。

だけど、繋ぎ止めたくて。

「ちょっとだけでも良いから」

微かな希望、…だけど。

ガルンの優しさに、漬け込もうとしてる。

ガルンの服の裾を、強く掴む。

「ねぇ、そばに居てよ」


いつもより、必死に多く紡ぐ言葉。

子供の様にボロボロと、素直にこぼす、言葉と涙。

もどかしい思いを感じ、服の裾を掴んでいた手を更にガルンへ伸ばし、ぎゅうとガルンに抱きついた。
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