water song(みずうた)
04.軟禁と逃亡と道連れ

04-01.街長(マチオサ)と捕虜

「じゃあ、あれはリールさんのせいだと言うのですか?」

セリの声が聞こえ、意識が緩やかに覚醒していく。

「それしか考えられない。君の証言や、あの場に居た者達の証言を統合すると。」

セリは誰かと話しているようだ。

落ち着いた、深めの男性の声が、セリの言葉に反応するのが聞こえた。

「“彼女があの場で歌った後に、噴水から水が天高く吹き出し、街を覆う水の幕となった”それが得た証言をまとめた結果だ。」

それから一拍の沈黙後、コトリと、コップをテーブルに置くような音。

「幸い、水の幕だけなので、砂漠からの街への出入りは可能だが、街の民達の不安はどうする事も出来ない。」

トントン…

イライラとテーブルを指で叩く音。

「それより解らないのは君だな。君と彼女…リールと言ったか…は、ごく短時間しか接していないのだろう?何故それ程庇うのだ?」

ため息と共に、男性はセリに尋ねる。

「あたし、約束しましたから、リールさんと。ガルンさんという人を一緒に探すって」

ガタリ。

椅子から立ち上がる様な音。

「まぁ、良い。取りあえず、彼女はこちらで保護させてもらう」

呆然としていた私の目の前で、扉が開いた。
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