water song(みずうた)
チョコレート色の髪と褐色の肌、髪と同じ茶の瞳は、理知的な光を宿していた。

「おや、お目覚めだったようだ」

「リールさん、大丈夫ですか?」

気遣わしげなセリの声に、そちらを見ると、セリの隣に警備兵の制服を着た男が立っていた。

部屋には他にも数名、警備兵がいた。

街の治安を守るため、各街には警備兵と呼ばれる組織が存在する。

部屋の中の男達は、扉を開けた男以外は、全て警備兵の制服を身に着けていた。

セリは隣の警備兵の隙を狙い、此方へ駆け寄って来ようとしたが、あえなく腕を掴まれ、阻止された。

「セリに乱暴するな!」

私は叫ぶが、フラリとよろけてしまったし、思ったより声が出ない。

「おっと、危ない。」

目の前に居た男に支えられる。
目覚めた時に聞いた話の内容が、余りにも衝撃的だった為、ここまで何とか我慢していたが、無理が祟っているようだ。

視界がどうにもボンヤリするし、薄暗い。

睡眠不足の時の様な頭の重みと、お馴染みの頭痛が続いている。

「触るな」

抵抗しようとするが、あっさり捕獲され、横抱き…所謂、姫抱っこではなく、小脇に抱えられる。
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