恋文~指輪が紡ぐ物語~
「俺は…、浩介の友達だ。あいつから、頼まれた」
歯切れの悪い松岡のしゃべり方は、いつもの彼とは別人のようで、しっくりこない。
「…こうちゃんは?」
花乃の質問に、言葉につまった松岡はやっぱりいつもとは違う。
彼の瞳に影が差した気がした。
母と同じ哀しい瞳の色に、花乃はいやな予感がした。
「浩介は……もういない。……中二の夏に交通事故で、死んだ」
――もう、いない?
死んだ?
なに、それ?
「…え?だって……、なんで?うそ?」
思い出したのに。
頭に浮かぶは、幼い頃の浩介の日に焼けた笑顔で。
いつだって、花乃がいるときは一緒に遊んでくれて。
大切な大切な父親からもらった最初で最後の贈り物だって、彼になら預けられたのに。
目の前にいる人物が彼だと、昨日は疑いもしなかった。
だけど、松岡くんはこうちゃんの友達で。
こうちゃんは、もういない?