出会う確率の方程式
「1人…上手いやつがいるね。動きが違う。素人の俺でもわかる」

彼は、あたしの顔を見て、

「あの子が、好きな人なの?」


「え!」

あたしは彼から顔をそらすと、グラウンドに目を走らせた。

ゴール前で囲まれながらも、ドリブルで駆け抜ける高橋がいた。

砂を切る足音が聞こえてきそうな程のスライディングを、軽く飛び避けた。

と、そのままゴールに向かって、シュート。

「ゴール!」

メグの赤い声とともに、ボールがゴールネットに突き刺さった。


ゴールを決めた歓声に、あたしははっとして、

「ち、違います!高橋くんが好きなのは、メグの方です」

「メグって?」

「あ、あたしの…親友です」

「そう…」

彼は少し考え込んだ後、またあたしを見た。


どうして、こんなに一生懸命になってまで、

あたしが否定しなくちゃならないんだろうと、心の隅で思いながらも、

思い切り頭を横に振っていた。

そんなあたしをじっと彼は見つめ、そしてまた笑顔になった。
< 50 / 290 >

この作品をシェア

pagetop