桃色ドクター
すっかりさっきまでのエロい顔は消えていた。
爽やかドクターが私に向かって右手を上げた。
ドキドキが止まらない。
私は、待合室のいすに腰かけ、携帯電話の画面を鏡代わりにして、顔をチェックした。
顔の色がよく見えないけれど、きっと真っ赤になっているに違いない。
「お大事に」
受付の女性に見送られ、私は瀬名病院を後にした。
セクシーな感じの香水の香りが漂っていた。
「はぁ……」
幸せのため息をつきながら、家路に着く。
これでしばらくは大丈夫。
瀬名先生の愛の治療で、私の心は桃色になっていた。