桃色ドクター
5分が過ぎた頃、勢い良く病院から飛び出してきた女性が目に入る。
髪の長さだけわかった。
肩よりも長いストレートヘアー。
もしかして婚約者の人?
私は、震える手を頬に当て、コンビニから出た。
走り去ったと思われた女性は、仁ノ介の車の助手席に座っていた。
頭の中が混乱していた。
-浮気発覚?
-まさかよりを戻した?
いろんなことを考えながら、私は仁ノ介の車へと近づいた。
うつむいて泣いているかのように見えるその女性は、私の存在には気付いていないようだ。
運転席側のドアに手をかけそうになって、ハッとした。
私、何しようとしてたんだろう。