桃色ドクター
「会いたいなぁ……」
ポツリとつぶやく私に恵理は言う。
「もう2週間も会ってないんでしょ?だめですよ~!!」
私ははがれかけた薬指のマニキュアを見つめながらため息をつく。
「会いに行こうかな」
診療時間の終わった瀬名整形外科へと向かうことにした。
突然、会いたくなる。
特にお酒が入るとやばいくらいに恋しくなる。
七分丈のニットだけでは少しまだ肌寒い。
夜道を歩きながら、仁ノ介の声を思い出す。
誰よりもセクシーな声。
瀬名整形外科の看板は明かりが消えていた。
車があることを確認し、私は電話をかけた。
……出ない。
コンビニで立ち読みをしながら、仁ノ介からの連絡を待った。