桃色ドクター


「もう帰ります!!」



「遅いから送るよ!!」




受付嬢の腕を掴んだ仁ノ介が、こっそり隠れていた私を見つけてしまった。




「香織……」




瀬名仁ノ介のこういうところが好き。


不器用で馬鹿なところ。



平野さんって呼べばおかしくないのに。



「平野さん。どうして……?」


受付嬢は、私の顔を見て驚いた顔をした。

当たり前だよね。


ただの患者の私がこんな時間にこんな場所にいることは不自然だもん。




「僕の好きな女性っていうのは、この人なんだ」



ええーーーーー!!!

どうして?


瀬名仁ノ介のすっとこどっこい!!



婚約者に言うならわかるけど、何も関係ない受付嬢に打ち明けることないじゃん。


これからは秘密の診療受けられなくなるじゃん!!




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