桃色ドクター
「私達、今ずっと話してたんです。瀬名先生について。瀬名先生が平野さんのような女性を選んだことで、すっきりしたんです」
ん?
どういう意味だ?
「仁が求めている女性は、私のようなタイプじゃなかったんだね。もう仁と結婚したいと思わない。結婚しても不幸になるのは私だから」
仁ノ介は、ごめんと謝って頭を深く下げた。
向かいのコンビニから聞こえてきたのは、何とも場違いな明るい歌。
「でも、婚約指輪は返さない」
由美子さんの内面は私の描いていたイメージと大きくかけ離れていた。
仕事をやめてまで結婚したいと言っていたので、清楚なお嬢様タイプで半歩後ろを歩くような人だと思っていた。
「構わない。あの指輪は君にあげた物だから、好きにしてくれていい」
受付嬢は、私も……と言いかけて、自分には何も言うことがないと気付き、黙ってうつむいた。
「こんなに美しい女性3人に愛されて、俺は幸せ者だな」
ばか!!
またばかな発言!!