桃色ドクター
仁ノ介の腕にくっついたまま、ゆっくりと歩く。
「あれ?誰もいないなぁ」
病院の鍵が閉まっていて、中は真っ暗だった。
ふと車の方を見ると、ふたつの影が並んでいるのが見えた。
「やあ!お待たせ!」
仁ノ介のばか~
ちょっとセリフが軽いよ。
そんな雰囲気じゃないことはわかってるくせに。
「どこにいたの?待ちくたびれたわよ」
由美子さんは腕組みをして、あきれたように言った。
寄り添うように受付嬢が立っていて、何だか笑いそうになってしまった。