桃色ドクター


ルンルンと鼻歌を歌いながら、会社へ向かう。


午前11時の重役出勤。


上司に怒られることはわかっているけど、ニヤけ顔は戻らない。



私は、甘かった。


優しく微笑んでくれた由美子さんと、受付嬢を甘く見ていた。



終わったと思っていた。


もう私と仁ノ介に何の障害もないと……信じていた。



会社に着き、上司へ遅刻を謝りに行った。


上司は、気まずそうに、目をそらしたまま、言った。


「言いにくいんだが……今朝、女性が2人会社に来た。平野さんに話があると」
急用だと言うので、つい自宅の住所を教えてしまったんだが……」





2人の女性……

誰なのかは聞かなくてもわかる。



由美子さんと受付嬢。

何、仲良くなってんの!!



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