桃色ドクター



雅也は冷凍室からパンを取り出し、焼いてくれた。


夜なのに、トーストと目玉焼き。


料理の苦手な雅也にしては、美味しい夕食だった。




その時、なんとなく思い出してしまった。


瀬名先生のこと。





彼なら、こういう時…



チャチャっとパスタやチャーハンなんて作ってくれるんだろうなぁ。



そして、思いっきり甘えても許してくれるんだろう。




あーんって口まで料理を運んでくれて、私が美味しいと言うとにっこりと微笑んでくれるんだ。





あーーーー!!

だめだめ。




どうせ軽い男。



いきなり会ったばかりの私にケータイ番号渡すくらいなんだから。




考えないようにしよう。


忘れるんだ。




ただの整形外科医。


私はただの患者。






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