桃色ドクター



「こんな時間に電話していて、奥さんに怒られないんですか?」



こんな質問したら、先生に気があるって思われるよね。



でも、やっぱり気になる先生の家庭。


少し長い沈黙があった。




『怒られないですよ。彼女はわがままも言わないし、驚くほど理解のある人でね…』




のろけなのか、嫌味なのか一瞬わからないような不思議な口調だった。



少しだけとげのある言い方だったことが、嬉しかった私は悪い女ですか?




「そんな甘い声で患者さんに電話してると、普通ならやきもちやきますよ!」




『甘い声??ははは。普通ですよ…』





先生との会話が、どんどん先生と患者ではなくなっていることが私をより興奮させた。



< 53 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop