粛清者-新撰組暗殺録-
「綺麗な人…一体どちらの方なのかしら…」

秩が女性の姿をしげしげと眺める。

「ああ…あの人は明里さんっていって、近くの遊郭の人ですよ…新撰組(うち)の山南さんと仲がいいんです」

秩につねられた頬をさすりながら総司が言った。

(ふぅん…沖田様の事好いてる恋敵じゃないんだ…)

自分の勘違いに思わず顔を赤くする秩だった。

…それから一刻ほどして。

「よう、沖田君」

屯所から明里と共に、一人の男が出てきた。

新撰組総長・山南敬助。

新撰組の中での地位は土方とほぼ同等。

池田屋事件の際には病人や怪我人の多い新撰組屯所の留守を預かり、屯所からの指示を出すなど縁の下の力持ちとしての役割を果たしていた。

北辰一刀流としての剣の腕もなかなかで、隊士達にも理解を示す人格者である。

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