粛清者-新撰組暗殺録-
突然の女性の声に、二人は慌てて距離を置いた。

ふと見ると、そこにはクスクスと笑う一人の女性の姿があった。

この寒いのに少しだけ着物をはだけさせて、か細く白い肩を露出させている。

薄く引いた口紅が妙に色っぽいというか艶かしいというか…。

「あら、よく見ると総司君じゃない。そちらのお嬢さん、もしかして恋人?」

「え…ええ…まぁ…」

女性の色気に惑わされて、少しポーッとする総司。

と…「いででででっ」

ヤキモチを妬いたのか、秩が総司の頬をつねった。

それが可笑しかったのか、女性はまたもコロコロと笑う。

何だか明るくて優しそうで、それでいて嫌味のない女性だ。

彼女は優雅な足取りで屯所の中へと入っていくが…。

「そうそう、総司君」

突然立ち止まって彼に忠告した。

「浮気は駄目よ、女の嫉妬と恨みは怖いんだから」


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