天上のワルツが聴こえる
「そういう言い方は正しくない。私は、壁が取り払われてより後、夢見が交代するたびにこのことを伝えてきた」

アンドロイドは、ハッとした。

彼の記憶バンクから欠落している情報のひとつは、それだったのだ。

「でも、わたしはそのことを覚えていませんでした。何故です?」

「それは、君が自分自身で選んだからだ」

「選んだ?」

「そう。私には命令はできない。君は、毎日、ここの人々の様子を、データとしてモニターしてきた。彼らが外で生活できるか否かは、君の判断にかかっている」

アンドロイドは、愕然とした。

一介のアンドロイドが、それを決定するキーだというのか。

身に余る重責だ。
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