天上のワルツが聴こえる
「リーファ!」

路地の左手に並んだ共同住宅の窓から、少年が顔を出した。

フロルだ。

少女は、聖堂がよく見えるこの場所がお気に入りだったが、それがフロルの家の側だということだけが気に入らなかった。

フロルは、いたずら者なのだ。

「寄ってかない? おいしいお茶をいれるよ」

フロルは、ニコニコ笑って誘いをかける。

彼の髪は金色だ。

本当にサラサラと音がしそうな、細い細い金色の髪である。

きれいだな、と思った。
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