天上のワルツが聴こえる
アンドロイドは、ゆっくりと目を開けた。

彼の記憶の中には、リーファ以外の夢見は存在しなかった。

彼女は、もう、10年間も、同じ少女の姿のままここにいたのである。

では、その前は?

それ以前にも、夢見はいたはずだ。

それもやはり、赤い髪をした、リーファという名の少女だったのだろうか。

彼の記憶バンクの中の情報は、コロニーが造られてから10年前までの間が欠落していた。

それが何故なのか、判らない。

だが、彼は、今、痛烈にそれを知りたいと思った。

そして、リーファの身に何かよくないことが起こるのなら、なんとしてもそれを止めなければならないと思った。
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