天上のワルツが聴こえる
リーファを救いたい。

それが至上命令のようにさえ思えた。

やはり、狂っているのは自分の方かもしれない。

彼女を救うということは、システムに反するということなのだから。

アンドロイドは、にわかに少女のことが心配になった。

街の様子を見てきてくれと、送りだしたままだったからだ。

マザーの話では、あと15時間足らずで新たな夢見が現れるという。

一刻も猶予はない。

今、こうしているこの瞬間にも、彼女の身に何かが起こっているかもしれないのだ。

アンドロイドは、急いで部屋を飛び出した。

そして、ワルツのリズムが流れる夜の街を、Gスクエアに向かって全速力で走った。
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