[短編] 題名のない出逢い
15話  出逢った・・・二人
気が付いたら
抱きしめていたよ。

突然の事だったから
君は、驚いていたね。

僕は、
「ホームで泣いていた君を探していたんだ。」
問いかけた。

溢れ出す涙こらえて

君は、

言ってくれたね。

かぼそい声で

今にも
雪の降る音で
かき消されそうな声で

あのホームの時のように
君さえもかき消されそうな声で

そして涙をながしながら
何度も 何度も言ったね。





「ありがとう。」と・・・





いつの間にか流れていた
時間(とき)のように
その時間(とき)が、
帰ってくるかのように
僕の肩の荷が、降りた感じだった。

君の事を
君の
右手を
離さず僕は、
君の涙を
僕の少し冷たい
右手でふいたよね。

ありがとうの言葉
それ以上何も聞かず。
僕は、君を
ぎゅっと ぎゅ~っと
抱き寄せた。


愛してるよ。



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