[短編] 題名のない出逢い
飲みかけのコーラ(番外編)
僕が小学生の高学年の頃
兄は、中学生だった。

あの頃は、コーラの容器が
ペットボトルでなく
ビンが中心だったと思う

僕は、金魚の糞のように
兄の後ろを付いていき
遊んでもらっていた。

兄は、僕から見ても
やさしい兄だった。
今となっては

そんな話、
恥ずかしくて兄を目の前にして
言える訳がない。


僕は、学校から帰ると
こっそり兄の飲みかけのコーラを
飲んでいた。
ばれないように、
ばれないように
こっそりと飲んでたつもりだった。

母の口癖は、
「コーラなんか飲んだら体が、
ボロボロになるから飲んだらダメ。」
という言葉だった。
僕は、次男だから
兄が怒られるのを見て
それを学んで成長してきた。

兄が、コーラを
買ってくるせいで
兄と母が、喧嘩することも
あった。しかし、
僕は、それを尻目に「ごめんなさい。」と
思いつつもこっそりと兄のコーラを
飲んでいた。

僕も中学に行き
いつか忘れたが
母から本当の事を教わった。

兄は、僕がこっそり
コーラを飲んでいるのを
知っていたのだ。

兄は、弟の為に
わざとおこられるやくを
かっていたのだと

その時、兄は兄だと
改めて実感した。


僕が、成人して実家で
お酒を交わした時
よった勢いで
昔の話をしたことがあった

兄は照れ隠すように
「ちがうよ  飲みほすと
明日の楽しみがなくなるだろ。」
なんて
兄らしい答えが返ってきた。

僕にとってドッチだって言い答えだ
僕は、今でも兄に
感謝をしている。

だから、僕も
毎日に希望や自分に期待しつつ


僕は、コーラを飲みほさないのだ・・・・・





冷蔵庫を開け
飲みかけのコーラを飲む。

それが
何故か、落ち着いてしまって
日課となっていった。

小さい頃から、
コーラは、大好きだった。
コーラを残すクセは、
小さい頃にさかのぼるが、
簡単に言うと
田舎のやさしい兄の真似だった。

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