あの頃は美穂がいて
出会い
「ねえ、どこの中学から来たの?」


いきなり隣から声をかけられて、半分居眠りしていた私はビクッとした。高校の入学式。どんな式典も、大抵の場合つまらない。この講堂に集められた新入生の大半が、私と同じように居眠りしていたに違いない。こちらの様子ぐらい見てから、声をかけるかどうか決めればいいのに。ちょっと動物的に反応してしまったのが恥ずかしくて、私は隣の顔を見るのを一瞬ためらった。


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