白い天井~恋愛依存症候群~
彼の、好物。
豚肉の生姜焼きに、中盛りライス、それと、ほうれん草のおひたし。

付き合う前も、付き合ってからも、変わらなかった定番メニュー。


「そうかな……。
卒論は?終わったの?」


気まずさは拭いきれないものの、その懐かしい昼食メニューのせいか、案外、普通に話せる気がした。


「まだ。そろそろ泊まり込まないとヤバいかもな」


片方の口角だけが上がる、独特の、皮肉っぽい笑い方に、さらに懐かしさが込み上げる。


そうだった。
アタシは、大学に入ってすぐからずっと、この、落ち着いた、少し冷めたような雰囲気に惹かれ続けたんだった。


大人っぽくて頼れる彼が、好きだった。

そんな彼が時折見せる無邪気さが、たまらなく好きだった。

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