最後に初めまして。
俺は、高瀬 登(のぼる)26歳 B型。

高校、大学と成績は中の上で、某薬品関係の営業マンをしている。
いわゆるMRって言われてる職種だ。

口は上手くて、ヘラヘラしてて社交的、何でも器用にこなす、遊び人タイプって周りからは言われてる。

まぁ、自ら否定はしませんが…。

過去の女性達の言葉を借りれば、何に対しても本気にならない最低の男らしい。


『――…登?さっきから上の空じゃない?』

「…悪い。少し考えごとをしてたわ。」

『私、今日彼氏とデートなの。帰るわね。』

「おぅ、そっか。気を付けてな。」


『うん、ありがと…――――チュッ。』


立ち上がるついでに優しくキスをして、薫は玄関へと消えて行った。

俺は煙草の煙を見つめ、夢の事を考えていた。

雨が降ると見る、同じ夢のことを…。


学校帰りに捨てられた子猫に逢う?

俺が…
――…いつだ?


俺は子猫に話かけて泣いている?

――…子猫?


―― バンッ!! ――


俺は思わずテーブルを叩いてしまった。


俺がイラつくのは、思い出せない事よりも、夢を見た時に思い出す。

思い出したくもない、忌わしい過去を忘れられないからなのかも、知れない。

逃れられないあの悲惨な過去を――。
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