最後に初めまして。
一日中俺は部屋で本を読んでいた。

明日には帰る事になっているのに古都には何一つ思い出を作ってあげれないイラだちを抑えるように黙々と目を通していた。

古都は俺の部屋と一階を忙しそうに行き来していた。


「古都、ヒロ達と一緒に遊びに行ってもいいぞ。折角来たんだし…。」

『登と一緒じゃないとつまんない。ここに居たら迷惑になる?』

「迷惑だなんて…それは嬉しくて涙が出るよ。」

『泣いてないじゃん。隣り行ってもいい?』

「ああ…、おいで。」


古都はベッドで横になっている俺の隣りに体をくっつける様に寝た。

俺は読みかけの本を閉じて古都と枕の間に腕を忍び込ませて古都の顔を俺の胸に近付けた。


『今、この時間が好き。私、登が大好き。きっといつまでも。』

「俺も古都が好きだ。最初で最後になるかもな。こんな気持ちになるのわ。」

『私、今の言葉だけで十分…もう何いらない。』


俺は古都の言葉の意味が何を言っているのかが分かっていた。

そしてあえてその言葉に触れる事はしなかった。

俺は古都を愛していれば良い事だし、残りの日々を古都の為だけに捧げよう。

古都が帰って来た時…
いや…俺が古都に会いに行った時に受け止めてくれれば良いのだから。


古都は静かに眠っていた。
あどけない寝顔を見ながら俺は静かにまた読みかけの本を開いた。
< 81 / 125 >

この作品をシェア

pagetop