さよならとその向こう側
「なんかやけにご機嫌だね?……もしかして、デート?」


「うん。」


私達は、仕事をしながら小声で話を続けた。


志乃とは入社した時から意気投合して、お互い何でも話せる仲だった。


だから、もちろん実と付き合っている事も話していた。


私と実の関係は社内恋愛というのと一緒なのかな?

なんとなく、大学内で言いにくくて、志乃だけにしか話してなかった。




「あのさ、彩夏…。」

志乃は暗い顔で呟いた。


「何?どうしたの?」


「私、彩夏に話した方がいいか悩んだんだけど…。佐和田教授の研究室に出入りしてる業者の人から聞いたの。」


「何を?」




志乃は黙ってしまった。


佐和田教授の研究室って、実の職場じゃない。

志乃が実の話をしようとしているのは明らかだった。

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