さよならとその向こう側

「……私、やっぱり…。」

“許せない“

そう告げようとした時、

「――許せない？」


寂しそうな表情で、私の顔を覗き込みながら、叔母さんは呟いた。



「だって、いくらお店を取り上げられたからって！！私やお母さんの為に、もう一度頑張ってくれれば――。」


言いながら涙が込み上げて来る。

悲しいのか、悔しいのか、自分でもよく分からない涙。



その時、横から伸びてきた手が私の頭を撫でた。


それは叔父さんの大きな手。


「――彩夏。」


そう私の名前を呼び、優しく微笑んだ。