さよならとその向こう側
「なんだ、安心した。」
頭のすぐ上からそんな声が聞こえた。
もちろん敦の声。
でも意味が分からない。
だから、私は涙でぐちゃぐちゃな顔を上げて敦を見た。
すると――敦は優しく微笑んでいた。
そして、また私の頭を撫でる。
「敦?何が安心したの?」
「綾がまともだったから。」
「…まとも?」
「そう。自分の気持ちを押し付けてただけだって、ちゃんと理解出来てんじゃん?だから、良かったよ。」